2023/01/31
歩く時にふらつく、抱っこした時にキャンと痛そうな声を出す、歩けなくなったといった様子が見られたら、椎間板ヘルニアの可能性を疑う必要があります。
椎間板ヘルニアは犬の代表的な神経疾患で、発症すると首や腰の痛み、足の麻痺などの症状を引き起こし、重度の場合は生活に支障をきたすこともあります。
今回は犬の椎間板ヘルニアについて詳しく解説します。
椎間板ヘルニアの症状
椎間板ヘルニアは腰の病気という印象が強いかもしれませんが、首(頸部)や胸部、背骨等のどの部分にも起こる可能性があります。
ヘルニアが発症した部位によって症状は若干異なりますが、主な症状は痛みと麻痺です。
具体的には次のような症状が見られるようになります。
・首や腰の痛み
・手足の麻痺
・歩行異常
・腰を丸めて歩く
・抱っこした時に痛みで鳴く
これらの症状が認められる場合には椎間板ヘルニアを発症している可能性がありますので、早めに動物病院を受診し、検査や治療の相談をするようにしましょう。
椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアは外傷や激しい運動、加齢、遺伝などが原因で椎間板が変性して脊髄を圧迫することで発症します。
発症が多い犬種は、軟骨異栄養症犬種と呼ばれるミニチュア・ダックスフンドやビーグル、フレンチ・ブルドッグ、ペキニーズ、シー・ズーなどです。
軟骨異栄養犬種は遺伝的に軟骨形成に障害を持つことが知られており、中でもミニチュア・ダックスフンドは特に症例が多く、その数は実に他の犬種の10倍とも言われています。
(出典:スモールアニマル・サージェリー.EDUWARD Press.2008)
さらに、椎間板は加齢に伴って変性が進むことが知られており、高齢の犬は特に注意が必要です。
椎間板ヘルニアの診断
神経学的検査や画像検査などを実施し、診断を行います。
神経学的検査では歩行の状態、どこに病変があるのかを確認していきます。
画像検査ではレントゲン検査やCT検査、MRI検査を実施します。
確定診断のためにはCTやMRI検査が必要ですが、全身麻酔をかける必要があるため注意を要します。
椎間板ヘルニアの治療
椎間板ヘルニアの治療は内科療法と外科療法に分けられます。
内科療法では消炎剤の投与とケージの中で安静にするケージレストが行われます。
痛みの緩和などを目的として鍼治療を併用して実施することもあります。
外科療法では手術を行い原因となっている椎間板物質の除去や減圧を行います。
軽症例では内科療法、再発が多い場合や重症例では外科療法が選択されるケースが一般的です。
加えて、当院では、椎間板ヘルニアの治療に上記で紹介した治療法の他に、光線免疫療法を用いています。
光線免疫療法は、特殊な波長の光線を当てる治療法で、副作用や痛みをほとんど伴わないことで注目されています。この治療法は、動物の年齢や基礎疾患の有無などで手術が実施できない場合や、手術で椎間板物質の除去や減圧を行った後に、再発防止の観点から用いられます。
これらの治療法についてさらに詳しく知りたい方は、当院までお気軽にお問い合わせください。
<光線免疫療法はこちらのページでも詳しく紹介しています>
椎間板ヘルニアの予防
椎間板ヘルニアの予防のために、日頃から腰や首に負担がかからない生活を心がけましょう。
ミニチュア・ダックスフンドやビーグルなどの軟骨異栄養症犬種では特に注意が必要です。
椎間板ヘルニアを予防するためには以下の点に気を付けると良いでしょう。
・ソファなどに飛び乗らせない
・階段等の段差を上り下りさせない
・カーペットなどを敷くなどして床を滑りにくくする
・足裏の毛を肉球にかからないようにこまめにカットする
・散歩時に首輪にリードをつけて強く引っ張ることは椎間板のヘルニアの原因にもなりやすいので注意し、首輪でなくハーネスを使用する
まとめ
椎間板ヘルニアはミニチュア・ダックスフンドやビーグルなどの軟骨異栄養症犬種で発症の多い脊髄の病気です。
発症すると首や腰の痛み、四肢の麻痺などの原因となるため注意が必要です。
重症化すると手術が必要になる場合もあるため、発症予防や早期発見・早期治療が重要です。
日頃から腰や首に負担がかからない生活を心がけるようにしましょう。
愛犬の気になる症状があれば、当院へご相談ください。
埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
TEL:048-281-3166