2025/04/02
「ゴホッゴホッ」と苦しそうに咳をする愛犬の姿を見て、不安になったことはありませんか?
なかなか止まらない咳や、何日も続く咳を目の当たりにすると、飼い主様にとってはとても心配になりますよね。
咳には一時的なものもありますが、継続する咳の場合には心臓病や気管の病気など、見逃してはいけない原因が隠れていることもあります。特に、「咳」と「吐き気」は見分けがつきにくく、判断に迷う飼い主様も多くいらっしゃいます。
今回は、犬の咳に関する緊急度のチェック方法や咳の原因となる病気、犬種や年齢による注意点、ご家庭でできるケア方法まで、わかりやすく解説します。
■目次
1.犬の咳の緊急度チェックリスト
2.咳が出る主な病気と特徴
3.犬種別・年齢別の注意点
4.診断方法
5.治療方法
6.ご家庭でのケアと予防法
7.まとめ
犬の咳の緊急度チェックリスト
まずは、今の咳がすぐに動物病院を受診すべきかどうか、緊急度をチェックしてみましょう。
ただし、上記の表はあくまで目安です。少しでも不安がある場合は、早めの受診をおすすめします。
咳が出る主な病気と特徴
犬が咳をする原因のひとつに「生理的な咳」があります。たとえば、冷たい空気を吸ったときや、水や食べ物が気管に入りそうになってむせたときなどに、反射的に咳が出ることがあります。
ただし、このような一時的な咳ではなく、何度も繰り返すようであれば注意が必要です。もしかすると、何らかの病気が隠れている可能性も考えられます。なかでも、以下のような病気がよく見られます。
<ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)>
いわゆる犬の風邪にあたるもので、特に子犬が集団生活をしたあとによく見られます。乾いた「カッカッ」という咳が特徴で、放置すると肺炎に進行することもあります。
<気管支炎・肺炎>
ウイルスや細菌感染によって気道や肺に炎症が起こる病気です。咳のほかに、呼吸が速くなる、元気がなくなる、食欲が落ちるといった症状が現れることもあります。特に高齢犬では重症化しやすいため注意が必要です。さらに、症状が進行すると咳だけでなく呼吸困難に陥ることもあります。
<気管虚脱>
気管がつぶれてしまい呼吸ができなくなってしまう病気です。特定の犬種によく見られます。咳をするほかに、ガーガーとガチョウの鳴き声のような呼吸音を出すことが特徴です。
<心臓病(弁膜症など)>
心臓が大きくなると、すぐ上にある気管を圧迫して咳が出ることがあります。咳以外にも、散歩を嫌がる、疲れやすい、寝ているときに咳き込むといった症状が見られることがあります。
犬種別・年齢別の注意点
咳の原因は犬の年齢や犬種によっても変わります。特に注意が必要なケースは以下の通りです。
<小型犬:気管虚脱>
特にチワワやポメラニアンといった「トイ種」と呼ばれる小型犬や短頭種は気管虚脱になりやすい傾向があります。特に興奮したときや運動後に咳が出る場合は注意が必要です。
<シニア:心臓病>
シニア期に入った犬は、心臓の弁に異常が起こる弁膜症などの心臓病にかかりやすくなります。年齢とともに活動量が減り、夜間や朝方に咳き込むようになった場合は早めの検査が必要です。
<子犬:ケンネルコフ>
免疫力の弱い子犬は、ウイルスや細菌による感染症にかかりやすく、特にケンネルコフには要注意です。ワクチン接種をしていない子犬は感染リスクが高まるため、保護施設やペットショップから迎えた直後の咳には注意しましょう。
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<短頭種:特有のリスク>
パグやフレンチ・ブルドッグ、シーズーなどの短頭種は、もともと鼻や気道が狭いため、呼吸器トラブルを起こしやすい傾向があります。いびきをかいたり、息が荒くなったりしている犬は、咳の症状と併せて動物病院で診てもらうと安心です。
診断方法
咳の原因を正確に突き止めるためには、動物病院での検査が欠かせません。
まずは問診と聴診によって、いつから咳が出ているのか、どんな時に出るのかなど、詳しい状況を確認します。そのうえで、胸部のレントゲン検査を行い、気管の太さや肺の状態、心臓の大きさをチェックします。
心臓病が疑われる場合には、心臓の超音波検査(エコー)を追加することで、心臓の動きや弁の状態をより詳細に確認できます。
また、来院前に咳の様子を動画に撮っておくことをおすすめします。実際の咳の音や様子を診察時に確認できることで、診断がスムーズです。
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治療方法
治療は咳の原因に応じて異なります。
<ケンネルコフの場合>
ケンネルコフなどの一過性の感染症であれば、ネブライザーという吸入器を使って薬剤を吸わせる方法が効果的です。
<気管支炎・肺炎の場合>
炎症を抑え、感染を制御するために抗生剤や消炎剤での治療を行います。重症の場合は入院治療を要することもあります。
<気管虚脱の場合>
内科的治療では、咳を和らげるための咳止めや、呼吸をしやすくする気管支拡張剤、痰を出しやすくする去痰剤、炎症を抑える抗炎症薬(ステロイドなど)、酸素吸入などが行われます。ただし、これらはあくまで症状を和らげるための「対症療法」であり、根本的な治療にはなりません。つぶれてしまった気管を元の状態に戻すには、外科的な手術が必要となります。
<心臓病の場合>
完治を目指すというよりは進行を遅らせることが目的となります。強心剤や利尿剤などを使いながら、日常生活の中で症状をコントロールしていく必要があります。治療は基本的に長期にわたるため、定期的な検査と投薬が欠かせません。
ご家庭でのケアと予防法
ご家庭でできるケアも、咳の予防や症状の悪化を防ぐためにはとても重要です。
まず、室内の空気を清潔に保ち、乾燥しすぎないように注意しましょう。特に冬場は加湿器を使用し、空気が乾燥しないようにするだけでも、咳の頻度が軽減することがあります。
混合ワクチンは、ケンネルコフを含む感染症の予防に役立ちます。年に一度の定期接種を欠かさず行いましょう。
咳と吐き気の区別が難しいと感じる飼い主様も多いですが、咳は喉や胸に力が入るような「ゴホッ、カッカッ」といった音が特徴で、吐き気はお腹の筋肉を使って「オエッ」とえずくような動作が見られます。迷った時は動画で記録しておくと、診察時に非常に役立ちます。
まとめ
犬の咳は、ただの風邪のように見えて、実は命に関わる病気が隠れていることもあります。咳が出始めたら、まずは緊急度を確認し、必要に応じて早めに動物病院を受診しましょう。
咳の原因にはさまざまな病気が関係しており、年齢や犬種によってもリスクが異なります。正確な診断を受け、早期に治療を開始することで、犬の健康寿命を伸ばすことができます。
当院では、電話予約のほかにWEBからのオンライン予約にも対応しております。気になる咳の症状がある場合は、お気軽にご相談ください。飼い主様と大切な愛犬が、安心して毎日を過ごせるように、私たちが全力でサポートいたします。
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埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
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