2024/06/11
最近、愛猫のおしっこの出が悪い、お漏らしをする、おしっこの色がいつもと違うなどの様子が見られることはありませんか?
これらの変化は、猫に多くみられる「下部尿路疾患」のサインかもしれません。下部尿路疾患には、膀胱炎や尿石症、尿路感染症、尿道炎などが挙げられます。
猫の病気の中でも特に多いとされているのが「特発性膀胱炎」です。
特発性膀胱炎は、検査をしても原因が特定できない膀胱炎を指しますが、ストレスが関与しているものと考えられています。
今回は猫の特発性膀胱炎について、原因や症状、治療方法をご紹介します。
■目次
1.猫の特発性膀胱炎とは
2.原因
3.症状
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
猫の特発性膀胱炎とは
結石症や細菌感染がみられず、原因がはっきりしない膀胱炎を指します。
原因
特発性膀胱炎は原因が不明であることが多く、以下が要因と考えられています。
・食事や環境の変化
・季節の変動に伴う飲水量の低下
・ストレス
・肥満 など
特に、生活環境に大きな変化があったり、トイレが汚れていたりする場合は、猫に強いストレスがかかり、特発性膀胱炎の発症が多くなることがあります。
症状
猫が特発性膀胱炎を発症すると、以下のような症状が見られることがあります。
・頻尿
・血尿
・排尿に伴う痛み
・何度もトイレに行く など
これらの症状が見られる場合は、特発性膀胱炎を発症している可能性があります。
早めに動物病院を受診しましょう。
診断方法
膀胱炎の症状が見られ、他の病気の可能性が排除された場合に特発性膀胱炎と診断されます。この診断には、以下の検査が必要です。
<尿検査>
血尿や軽度のたんぱく尿が確認されることが多いです。
<細菌培養検査>
尿中に細菌が増殖しているかを確認し、細菌性膀胱炎の可能性を除外します。特発性膀胱炎の場合、基本的には細菌は検出されません。
<画像検査>
レントゲン検査やエコー検査を用いて、尿結石がないことをチェックします。
治療方法
特発性膀胱炎を治療するためには、以下の対策を行う必要があります。
<食事・飲水の管理>
治療の一環として、下部尿路疾患専用の療法食の利用や飲水量の増加を目指します。
<環境改善>
ストレスを軽減するために、トイレを常に清潔に保ちます。また、隠れられる場所を用意し高いところに登れる環境を整えます。
<薬物療法>
特発性膀胱炎は膀胱に痛みを伴うことがあり、症状が悪化した場合には鎮痛剤を投与します。何度も再発を繰り返す場合には、ストレスの軽減を目的として、抗不安剤を投与することもあります。
予防法やご家庭での注意点
特発性膀胱炎を完全に予防する方法はありませんが、猫にストレスを与えない環境づくりや飲水量の確保が有効です。
ご自宅では、飲み水を設置する場所を増やす、吸水器などを用いて水分補給を促したり、ウェットフードを取り入れて食事から水分を補給したりするなどの対策を行うことが効果的です。
また、猫のトイレを常に清潔に保つために、トイレの数を猫の数より1つ多く用意することもおすすめです。
まとめ
もし、愛猫に頻尿や血尿、排尿時の痛みなどの症状が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。早期の診断と適切な治療が、愛猫の健康を守る鍵となります。
当院には、日本獣医腎泌尿器学会の認定医が在籍しております。この認定を取得したことによって、より泌尿器系の疾患の専門的な診察が可能となりました。
※日本獣医腎泌尿器学会の認定医プログラムとは、獣医腎泌尿器学に関する臨床ならびに研究の健全な発展普及と腎泌尿器学の進歩を促進し、 人と動物の福祉ならびに学術の発展に貢献することを目的として制定されたものです。
埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
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