2022/10/20
犬のアトピー性皮膚炎について、聞いたことはあるけれども、病気について詳しいことはわからないという経験はありませんか?
愛犬が体を痒そうにしている、手足を舐めている、耳が痒い、脇やおなかが赤い、口や目の周りが赤い。このような症状はアトピー性皮膚炎の症状です。
今回はこの病気について理解を深め、効果的に治療ができるように症状、原因、治療法から日常の注意点まで説明します。
アトピー性皮膚炎の症状
犬のアトピー性皮膚炎は、特徴的な痒みの分布がみられます。
アトピー性皮膚炎の特徴的な痒みの分布とは、口周囲、目周囲、耳、両脇、両内股、四肢指間、下腹部位を指します。
これらの部位に、痒みをはじめとした皮膚の炎症像が認められます。
炎症像とは、痒みにより掻くことで皮膚が赤くなり発疹ができ、さらに掻き続けることで皮膚のターンオーバーが早まりフケが増え、脱毛し、皮膚が剥け潰瘍をつくり、これが繰り返されることによって、皮膚が厚くなり、黒い色素が沈着します。
また、痒みの発症時期には季節性があることも特徴的です。
一般的に、気温の上昇とともに痒みも強くなるとされていることから、日本では夏に多くの発症報告があります。
発症年齢についても特徴があり、6ヶ月から3歳齢までの発症が多いとされています。
原因
犬のアトピー性皮膚炎は、好発犬種があることから遺伝的素因をもつとされています。
遺伝的に皮膚のバリア機能が弱いために、アレルギーの元となる物質が皮膚内に侵入し、免疫が過剰に働いて痒みを発症します。
健常な犬では問題のない刺激が、アトピー性皮膚炎の犬では痒みとして認識されてしまいます。日本で飼育されている犬種の中では、以下の犬種で罹患報告が多くあります。
○柴犬
○ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア
○シーズー
○フレンチ・ブルドッグ
○レトリバー種
治療方法
アトピー性皮膚炎の症状は痒みであるため、まずはこの痒みを抑えることが重要です。
治療法は、痒みを抑制する内服薬および外用薬の使用が第一選択です。
病変が局所かつ軽度であれば外用薬のスプレーやクリームを選択します。
病変が広範囲であれば内服薬による治療を組み込み、治療プランを立てます。
近年、体質改善の治療としてアレルゲン特異的免疫療法(減感作療法)も導入されていますが、他の治療に比べて高価となるため、実際に実施している施設は少ないです。
日常の注意点
犬のアトピー性皮膚炎は、完治しにくいため、飼い主様を悩ませる病気のひとつです。
病気の背景には遺伝的素因があるため、症状を全くなくすことは難しいので、症状を和らげることを目標としましょう。
愛犬の痒がっている様子がみられたら、症状が悪化する前に動物病院へ受診し、早期に痒みを止めることが大切です。
まとめ
犬のアレルギー性皮膚炎は、6ヶ月から3歳齢の犬が夏場に多く発症し、口および目周囲、耳、脇、内股、四肢指間、下腹部に痒みを引き起こす病気です。
原因が遺伝的素因のために、痒みを完全に抑え込むことは難しいですが、早期に治療を開始することで症状を緩和できます。
痒みの症状や気になる症状があれば、当院へご相談ください。
TEL:048-281-3166