2023/05/17
猫の歯肉口内炎は口腔内の歯の周囲に炎症を起こしている状態のことを言います。
症状としては、口臭やよだれ、歯の周囲に腫れがみられ、進行すると食欲不振を引き起こすため注意が必要です。
本記事では、猫の歯肉口内炎について解説していきます。
猫の歯肉口内炎の症状
猫の歯肉口内炎は以下のような症状がみられます。
・口臭
・よだれ
・口を気にする仕草(食べずらそう、手で口周りをこする)
・口の痛み
・歯肉の腫れ、出血
・食欲不振
・体重減少
また、歯肉口内炎の初期段階では口臭やよだれなどがみられます。
進行すると食欲不振や体重減少もみられる場合があるため、しっかりと治療を行うことが大切です。
猫の歯肉口内炎の診断方法
猫の歯肉口内炎を診断するためには、口腔内を観察して口腔内腫瘍が隠れていないかどうかを判断する必要があります。
「歯肉口内炎だと思っていたら、実は腫瘍が隠れていた」ということもあるため、注意が必要です。
また、進行して肉芽組織を形成した歯肉口内炎と口腔内腫瘍の判断は難しく、麻酔下での生検が必要になる可能性もあります。
さらに、歯肉口内炎を起こしやすい猫エイズなどの感染症を持っていないかどうか、血液検査をすることも大切です。
猫エイズに罹患している場合には、治療しても治りづらい難治性の歯肉口内炎の可能性も高くなります。
猫の歯肉口内炎の治療方法
猫の歯肉口内炎の治療方法は以下が考えられます。
・内科的治療(主に薬を使用)
・外科的治療(歯を抜く)
内科的治療では、痛み止めや炎症を抑えるステロイドなどを使用し、歯肉の痛みを鎮めます。
軽い歯肉口内炎ならば、内科的治療でも改善することもありますが、重度の歯肉口内炎の場合には、外科的治療を検討しなければなりません。
外科的治療では、麻酔をかけて抜歯を行います。
重度の歯肉口内炎の場合は、全ての歯を抜歯することも考慮しなければいけません。
猫の歯肉口内炎では、治療したにもかかわらず症状が改善しない難治性のものもあります。
そのため、手術後も薬の投薬が必要になる可能性があることも知っておきましょう。
猫の歯肉口内炎の予防方法
猫の歯肉口内炎は、進行すると食欲低下や体重減少など症状も重度になる場合が多いので、早期発見・治療を行うことが大切です。
また、猫エイズやカリシウイルスなどの感染症も歯肉口内炎に関与している可能性があります。
飼い主さんは、外猫や知らない子猫に触った後は、しっかりと手を洗ってから愛猫に触るようにしてください。
また、ワクチンを定期的に接種し、感染症から愛猫の身を守ってあげましょう。
まとめ
本記事では、猫の歯肉口内炎の症状や診断、治療方法について解説してきました。
猫の歯肉口内炎は、進行すると症状も重度になることが多いため、早期の発見・治療が必要です。
飼い主さんは日頃から猫の口腔内を観察して、腫れや出血などの異変がないかどうかチェックするようにしましょう。
埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
TEL:048-281-3166
【参考文献】
獣医内科学 第2版 p191