2023/06/22
角膜ジストロフィーは遺伝性の眼疾患で、犬では遺伝的要因を持っている犬種でよくみられますが、猫での発症はまれです。
今回は、犬や猫の角膜ジストロフィーについて解説します。
■目次
1.角膜ジストロフィーの原因
2.角膜ジストロフィーの症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防や飼い主が気を付けるべき点
6.まとめ
角膜ジストロフィーの原因
角膜ジストロフィーの原因ははっきりとは解明されていませんが、遺伝性であると考えられています。
特に犬では、ビーグルやシェルティ、キャバリア、ダックスフンド、サモエド、ボストンテリアなどの犬種の中年齢以降で発症しやすい傾向があります。
しかし、それ以外の犬種や年齢でも発症リスクがないわけではありません。
角膜ジストロフィーの症状
黒目(角膜)の中央に白い斑点のような白濁が現れることが角膜ジストロフィーの特徴的な症状です。
この白濁は角膜への脂質やリン、カルシウムの沈着によって起こると言われており、両目に起こることが多く、徐々に白濁が広がっていくこともあれば、広がらない場合もあります。
ただ、角膜は外側から上皮、実質、デスメ膜、内皮の4層構造になっており、どの層で異常が起こるかによって症状は異なります。
上皮や実質で異常が起こった場合には、白濁のみの症状で、痛みや炎症は伴うことはほとんどありません。
しかし白濁が広がることにより目が見えにくくなると、目を細めたり目を気にして前足でかいたりする場合があります。
角膜ジストロフィーは失明まで進むことは少ないです。しかし角膜内皮で異常が起こると、角膜の水分が多くなり角膜浮腫に進行し視力が低下する可能性があります(角膜内皮ジストロフィー)。
また角膜浮腫から角膜潰瘍を合併した場合、痛みや炎症を伴うことがあります。
当院を受診した角膜ジストロフィーの症例
当院を受診した角膜内皮ジストロフィーの症例
診断方法
まずは、両目の角膜に白濁がみえるという特徴的な症状や犬種から角膜ジストロフィーを疑います。
そして、考えられる他の眼疾患を眼科検査で除外することにより診断可能です。
眼科検査の際には、角膜浮腫や角膜潰瘍の有無についても判断します。
治療方法
角膜ジストロフィーは遺伝性的な原因が多いため、残念ながら現在では角膜を濁りのない状態に戻すための治療方法はまだ確立されていません。
そのため、症状が軽度の場合は、経過観察になることが一般的です。
ただ、症状が重症化し、角膜潰瘍などを併発した場合には、その疾患の治療を行います。
予防や飼い主が気を付けるべき点
角膜ジストロフィーは遺伝的な要因によって引き起こされるため、予防法は直接的には存在しません。
日常的に愛犬や愛猫の目を観察し、目の変化を見逃さないことが大切です。
そのためにも定期的に眼科検査を受けることで、症状の進行や合併症の有無を確認することが重要です。
まとめ
今回は、角膜ジストロフィーについて解説しました。
角膜ジストロフィーは遺伝性の眼疾患で、犬では遺伝的要因を持っている犬種でよくみられますが、猫での発症はまれです。
日常的に愛犬や愛猫の目を観察し、目の変化を見逃さず、気になることがあれば、当院までご相談ください。
埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
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