2025/04/01
最近、愛犬や愛猫の「黒目に白い濁りがあるような気がする…」「目が白くなってきたけれど、年のせい?」そう感じたことはありませんか?それはもしかすると角膜ジストロフィーかもしれません。
角膜ジストロフィーとは、角膜(黒目の部分)に白い濁りが現れる病気で、主に犬で見られますが、まれに猫にも発症することがあります。痛みがなく、飼い主様が気付きにくいこともありますが、進行すると視力に影響を及ぼす可能性もあるため、早期発見と他の病気との鑑別・適切な対処が大切です。
今回は犬や猫の角膜ジストロフィーについて、原因や症状、診断方法から治療法、そしてご自宅でできるケアまで、わかりやすく解説します。
■目次
1.角膜ジストロフィーとは?
2.緊急度チェック!こんな症状はありませんか?
3.角膜ジストロフィーの原因
4.診断方法
5.治療方法
6.ご家庭でできるケア
7.まとめ
角膜ジストロフィーとは?
角膜ジストロフィーとは、角膜にコレステロールやリン脂質・脂肪酸などが沈着し、黒目が白く濁って見える病気です。角膜は目の表面を覆う透明な膜で、外界の光を取り込む役割がありますが、この角膜の一部に異常が起こると白濁が現れます。
この病気は遺伝的な要因が関係しているとされており、特定の犬種に多く見られることがわかっています。特に以下のような犬種では、角膜ジストロフィーの発症リスクが高い傾向があります。
・ビーグル
・シェルティ
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
・ミニチュア・ダックスフンド
・サモエド
・ボストン・テリア など
猫では発症することが非常にまれですが、報告例がないわけではないため、目の異変を見逃さないことが大切です。
緊急度チェック!こんな症状はありませんか?
愛犬や愛猫に以下のような症状が見られた場合、角膜ジストロフィーの可能性があります。
・黒目の中心にうっすら白い濁りがある
・両目に同時に濁りが出てきた
・目を細めている、まぶしそうにしている
・目をかゆがる、前足でこすっている
・突然ぶつかるようになった、見えていない様子がある
角膜は外側から「上皮」「実質」「デスメ膜」「内皮」の4層構造になっており、どの層に異常が起こるかによって症状も異なります。上皮や実質に異常がある場合は、主に白濁のみが見られ、角膜ジストロフィーでは痛みや炎症を伴いません。ただし、白濁が広がって視界が遮られると、目を細めたり、目を気にして前足でこすったりする仕草が見られることがあります。
角膜ジストロフィーと見た目が似ている病気に角膜変性症があります。初期症状では白濁だけで痛みや赤みがないため見過ごされがちですが、進行すると視力が低下し、生活に支障が出てしまうこともあります。また、角膜浮腫や潰瘍を併発した場合には痛みや炎症を伴い、緊急性が高まります。特に、「目の白濁が急に広がった」「目をしきりにこすっている」「光に敏感になった」などの症状がある場合は、早めの受診が必要です。
また、名前の似ている病気に角膜内皮ジストロフィーがあります。この病気は、角膜の内皮細胞が障害を受けることで角膜浮腫を起こす病気です。角膜内皮ジストロフィーの鑑別には、角膜潰瘍や角膜上皮欠損・緑内障が挙げられます。そのため角膜ジストロフィーと角膜内皮ジストロフィーは、異なる病気です。

当院を受診した角膜ジストロフィーの症例

当院を受診した角膜内皮ジストロフィーの症例
角膜ジストロフィーの原因
角膜ジストロフィーの原因として、最も一般的なのは遺伝的要因です。若齢での発症が一般的で、特定の犬種に集中していることからも遺伝性の関与が大きいと考えられています。
診断方法
診察では、まず視診で角膜の白濁を確認します。その後、他の眼疾患との可能性を除外するために、以下の眼科検査を行います。
<スリットランプ検査>
角膜のどの層に異常があるかを確認します。
<染色検査(フルオレセイン検査)>
角膜に傷がないかを確認します。
これらの検査を通して、角膜ジストロフィーであるかどうか、その進行具合や合併症の有無を診断します。
当院では検査時に犬や猫に負担がかからないよう、優しく丁寧に進めています。検査においてご不明点がございましたら、お気軽にご相談ください。
治療方法
角膜ジストロフィーは、根本的な治療法が確立されていない病気です。そのため、経過観察が中心となります。
しかし角膜変性症では、進行して角膜潰瘍を併発する場合に以下のような治療を行います。
・潰瘍がある場合には抗生剤や保護用の点眼薬を使用
・痛みが強い場合は鎮痛目的の薬も併用
重度の場合には、角膜移植などの手術が検討されるケースもあります。
治療期間は症状や進行度によって異なりますが、軽度であれば数週間〜数ヶ月で落ち着くこともあります。入院が必要なケースは稀であり、ほとんどは通院による治療で対応可能です。
ご家庭でできるケア
角膜ジストロフィーを予防する方法はありませんが、早期発見と日々のケアがとても重要です。
毎日できるケアのポイントとしては、愛犬や愛猫の目をよく観察し、白濁や異常がないかチェックすることです。また、乾燥やほこりによる刺激を避けるため、部屋の湿度や清潔さにも配慮しましょう。
また、異常を見つけた際は自己判断せず、早めに動物病院を受診するようにしてください。角膜ジストロフィー以外の目の病気の可能性もあるため、正確な診断が必要です。
おすすめのケア用品としては、獣医師が処方する人工涙液の点眼薬や、目の洗浄液などがあります。市販の製品を使用する際は、必ず獣医師に相談しましょう。
まとめ
角膜ジストロフィーは初期には症状が目立ちにくく、見逃されがちですが、進行すると視力に影響を及ぼすことのある病気です。特に中高齢の犬で多く見られますが、まれに猫にも発症することがあります。
愛犬や愛猫の目の健康を守るためにも、日々の観察と早期の受診が大切です。当院では、角膜ジストロフィーを含む眼科診療にも力を入れており、必要に応じて専門的な検査や治療を行っております。
もし目に白い濁りが見られたり、目を気にする様子があったりする場合は、当院までお気軽にご相談ください。
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