2023/08/30
猫がよだれを垂らすのはどのようなときでしょう?もちろん、空腹時にご馳走を前にしたときや、気持ちよく寝ているときにもみられます。
しかし、そうではないのに猫が日常的によだれを出しているときは、病気や異常のサインかもしれません。
この記事では、どのようなときに病院へ行けばいいのか、考えられる疾患は何かについて、解説していきます。
■目次
1.よだれの原因
2.考えられる疾患
3.治療方法
4.予防方法
5.まとめ
よだれの原因
猫のよだれの原因として代表的なものは口腔内疾患です。
口の中に痛みや違和感があると、猫はよだれを垂らします。
よだれだけでなく、食事を嫌がる、噛みづらそうにする、顔を触られるのを嫌がるといった症状もみられます。
また、吐き気がある場合や神経症状の場合にもよだれがみられます。
考えられる疾患
歯肉口内炎
歯茎が赤く腫れ、痛みを伴い、口臭もきつくなります。
加齢による歯石の蓄積や、FIV(猫エイズウイルス)などのウイルスが原因となります。
歯肉口内炎について詳しくはこちら
根尖膿瘍
歯の根(根尖部)に膿の袋(膿瘍)ができる中高齢の犬や猫に多く認められる病気のことです。
好発部位が目の下付近であるため、進行すると顔の腫れがみられます。
根尖膿瘍について詳しくはこちら
腎不全
様々な原因により腎臓にダメージが加わることで腎臓の機能が低下し、働きがうまくいかなくなる状態のことです。
代謝されるはずの毒素が体内にたまり、尿毒症を起こすと気持ち悪さからよだれを垂らすようになります。
神経症状
てんかんや中毒、低血糖などによる神経症状の場合にもよだれがみられます。
治療方法
よだれの原因となっている疾患を特定し、その治療をします。
特に多い原因である口腔内疾患は、軽度であれば抗生剤やステロイド剤の使用で改善が見込まれます。
しかし、重症例や歯石が多く付着している場合には、麻酔下でのスケーリングや抜歯が必要となります。
吸収病巣の場合は、抜歯が第一選択とされていましたが、近年ではスーパーライザーを用いた近赤外線療法が高い治療効果が期待できます。
スーパーライザーは麻酔が不要で猫への負担が少なく、疼痛緩和や炎症の抑制ができます。これにより薬物(痛み止めや抗炎症剤)の使用量・頻度を減らす効果も期待できます。
当院でも、スーパーライザーを用いた光線療法を取り入れております。ご興味やご質問がございましたら、どうぞ気軽に獣医師にお尋ねください。
詳しくはこちらをご覧ください
予防方法
口腔内疾患の予防には、幼少期からのホームケアがとても大切です。
歯ブラシが難しければ、指にまいたガーゼで歯を拭いてあげるなどして、少しでも歯垢を除去しましょう。
正しい歯のケア方法についてはこちらの記事で解説しています
吸収病巣は、レントゲン検査を行わないと見つけるのが難しいため、よだれが気になった際は、一度口腔内のレントゲン撮影を検討すると良いでしょう。
ただし口腔内のレントゲン検査では、麻酔下で行う必要があるので、その他の検査と一緒に実施していただき、歯だけでなく全身の状態も定期的にチェックすることをお勧めします。
また、定期的に動物病院で健康診断を受け、腎不全や神経症状の病気を早期に発見することも大切です。
まとめ
頻繁的によだれを垂らしていたり、食欲の低下や顔をこすったりなど、気になる症状がある場合には、早めに動物病院で受診しましょう。
埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
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TEL:048-281-3166