2023/10/20
認知症(認知機能不全症候群)とは、加齢によって脳が変化することで認知能力が低下し、様々な行動障害が引き起こされる病気です。近年犬の平均寿命は14歳を超え、高齢化に伴い人と同じように犬でも認知症を発症するケースが増えています。
今回は、犬の認知症について解説していきます。
発症年齢
犬の認知症は10歳頃から見られ始めることが多く、12歳以上で発症率は急増していくと言われています。
また、中には6歳で発症した症例もあるため、「うちの子は大丈夫」と安心せず、日頃から愛犬の様子に変化がないか注意して観察することが大切です。
認知症で見られる症状
認知症では、次の6個のカテゴリーに分類される、様々な症状が見られることが知られています。
①見当識障害
・自宅の中など、慣れた場所でも迷子になる
・狭い場所や隙間に入ってしまい、出られなくなる
・壁や床、天井などをぼんやり見つめる
・家族や仲の良い動物などを認識できなくなる
・おもちゃやごはんを見つけられない
②社会的交流の変化
・飼い主から話しかけられたり、なでられても反応しなくなる
・同居する家族や動物に対して攻撃的になる
③睡眠サイクルの変化
・夜に寝なくなる
・夜中に起きて徘徊する
・夜鳴きをする
④不適切な排泄、トレーニングされた行動の変化
・トイレ以外の場所で排泄してしまう
・自分の名前や習得しているコマンドに反応しない
・新しいことが覚えられない
⑤活動性の変化
・ぐるぐると同じ場所を回る
・同じ行動を繰り返す
・うろうろと徘徊する
・遊ばなくなる
⑥不安の増加
・飼い主から離れると異常に不安がる
・見るものや音に過敏になったり、怖がる
犬の認知症はまだあまり知られていないため、身近に感じることが少ない病気です。
そのため、認知症とは気付かれず、発見が遅れてしまうことも多くあります。
もしも愛犬に上記のような症状が見られた場合には、まずは早めに動物病院を受診し獣医師に相談するようにしましょう。
気を付けること
認知症になってしまう原因はまだ明確にはされていませんが、脳の機能が低下したり障害されてしまうことで発症すると考えられています。
そのため、認知症の予防としては日々の生活の中で適度に脳を刺激してあげることが大切です。
例えば、お散歩コースを時々変えてみる、毎日無理のない程度に愛犬と一緒に遊んで運動をさせる、スキンシップの一つとして愛犬の身体を優しくマッサージするなどが効果的です。
また他にも、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸やビタミンC・Eなどの抗酸化作用のある成分を含むフードを利用したり、サプリメントを取り入れたりすることも有効となります。
愛犬がシニア期に入ったら、日々の生活の中でこれらの対策を取り入れるようにし、もしも気になる症状や様子が見られた場合には早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ
犬の長寿化に伴い認知症を発症する割合も増えていきますが、この病気は初期段階での発見が難しく、また根本的な治療法がありません。
だからこそ、飼い主様が早い段階で気づき、適切なケアをしていくことが大切です。
愛犬が10歳になったら適度に刺激のある生活を心がけ、食事内容の見直しやサプリメントを取り入れるなど認知機能の健康を維持するための積極的なケアをぜひご検討ください。