2023/12/19
犬や猫の乳歯は通常生後3~4ヶ月から抜け始め、生後半年頃までに全ての歯が永久歯へと生え変わります。しかし、永久歯がしっかり生えているにもかかわらず、乳歯が残っている場合、乳歯遺残の可能性があります。
この記事では、犬や猫で乳歯遺残があるとどのような影響があるのか、どのようなことに注意すればいいのかなどを解説していきます。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法や家庭での注意点
6.まとめ
原因
乳歯遺残は、発育過程で乳歯が抜け落ちず、永久歯と並行して存在する状態を指します。
通常永久歯は乳歯の歯根を吸収しながら乳歯を押し出すようにして生えてくるため、乳歯は自然に脱落します。しかし、このプロセスがうまく機能しなかったり、永久歯の生えてくる場所がおかしかったりすると遺残の原因になります。
また猫よりも犬で起こりやすく、特にチワワやトイプードルなどの小型犬に発生しやすいです。
症状
歯並びが悪くなり、歯肉や口唇を傷つけ口内炎ができやすくなります。
また歯石がたまりやすくなり、将来的に歯周病や不正咬合など口内問題を引き起こすリスクが高まります。
猫の歯肉口内炎についてはこちら
犬や猫の歯周病についてはこちら
診断方法
診断は、乳歯が残っていないか口腔内の視診によって行われます。
永久歯との判断がつきにくい場合は歯式と照らし合わせて数を確認します。犬の正常な永久歯の数は42本、猫は30本です。
治療方法
治療には、全身麻酔下での抜歯になりますが、たいてい避妊・去勢手術の際に同時に行います。
乳歯は小さい歯なので抜歯跡を縫う必要はなく、出血もすぐに止まることがほとんどです。また、隣接した永久歯との間にすでに歯石がついている場合は、そのまま抜歯すると感染を起こすリスクがあるため、歯石を除去してから抜歯します。
予防法や家庭での注意点
乳歯遺残の予防法はありませんが、ワクチン接種や避妊・去勢手術のタイミングで残っている乳歯がないか動物病院で確認してもらいましょう。
乳歯遺残があると歯ブラシなどデンタルケアもしづらくなり、歯石がたまって若いうちから歯周病を発症しやすくなります。年齢を重ねると歯の病気になりやすくなるため、若いうちから口内環境には気を配り、定期的な検診と日頃のケアを怠らないようにしましょう。
犬や猫の正しい歯のケア方法についてはこちら
子犬子猫を迎えたら-健康診断/予防診療編-についてはこちら
◼️その他、歯の病気についてはこちら
猫の吸収病巣について
犬や猫の根尖膿瘍について
まとめ
乳歯遺残は直接命に関わる疾患ではありませんが、早めに対処してあげることで将来歯周病になる可能性を下げられます。また避妊去勢手術と同時に行うことで、全身麻酔の回数も1度で済みます。子犬、子猫のうちに乳歯遺残がないかしっかりと確認しましょう。
埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
当院の診療案内はこちら
TEL:048-281-3166