犬の目頭が赤く腫れる「チェリーアイ」とは?原因・症状・治療法を解説│埼玉県川口市-森田動物医療センター

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愛犬の目頭に「赤い膨らみがある」「目やにが増えている」「左右の目の形が違う」といった症状が見られることはありませんか? これらの症状がある場合、「チェリーアイ」と呼ばれる病気の可能性があります。

チェリーアイは、瞬膜腺(第三眼瞼腺)が飛び出し、目頭に赤い塊のように見える状態のことを指します。放置すると角膜炎やドライアイを引き起こし、視力に影響を及ぼすこともあるため、早めの対処が必要です。

今回は犬のチェリーアイについて、症状や原因、治療方法、予防策などを詳しく解説します。

■目次
1.このような症状はありませんか?
2.チェリーアイとは?
3.チェリーアイが起こる原因
4.症状
5.合併症のリスク
6.診断方法
7.治療方法
8.日常的な予防法
9.ご家庭でのケア方法
10.まとめ

 

このような症状はありませんか?

チェリーアイは、見た目の変化が分かりやすい病気ですが、他の眼疾患と間違えられることもあります。以下の症状が見られたら、早めに獣医師の診察を受けましょう。

 

<チェックリスト形式の症状一覧>

・目頭に赤い腫れた塊がある
・涙や目やにの量が増えている
・犬が目を頻繁に気にしてこする
・白目が充血している
・左右の目の大きさが違うように見える

 

<緊急性の判断基準>

軽度:目頭に小さな赤みがあるが、痛みはなさそう
中等度:赤い塊が目立ち、涙の量が増えている
重度:腫れが大きくなり、犬が痛がって目をこすり続ける

 

チェリーアイは症状が進行すると、角膜が傷ついたり、炎症が悪化したりする可能性があるため、早めの治療が必要です。

 

チェリーアイとは?

チェリーアイとは、瞬膜腺(第三眼瞼腺)が脱出し、目頭に赤い塊として見える状態を指します。正常な場合、この腺は目頭の奥にあり、涙を分泌する働きをしています。

しかし、何らかの原因で腺を固定する組織が緩むと、瞬膜腺が飛び出してしまいます。この状態が長く続くと、涙の分泌機能が低下し、角膜炎やドライアイを引き起こす可能性があります。

<img src="チェリーアイ森田動物医療センター.JPG" alt="犬のチェリーアイ。瞬膜腺が突出し、目の内側に赤く腫れた部分が見られる">

 

<瞬膜(第三眼瞼)の役割>

犬には上まぶた・下まぶたに加え、第三のまぶた「瞬膜(第三眼瞼)」が存在します。瞬膜は、以下の役割を担っています。

・目に異物が入るのを防ぐ
・涙の分泌を助け、目の乾燥を防ぐ
・目の表面を保護する

 

<かかりやすい犬種>

チェリーアイは、以下の犬種で発症しやすいとされています。

・ビーグル
・コッカー・スパニエル
・ペキニーズ
・フレンチ・ブルドッグ
・イングリッシュ・ブルドッグ
・チワワ

 

<年齢による発症傾向>

特に1歳未満の子犬で多く発症します。成長過程で、瞬膜腺を支える組織がまだ十分に発達していないため、発症しやすいと考えられています。

 

チェリーアイが起こる原因

瞬膜腺は通常、眼球周囲の組織にしっかり固定されています。しかし、チェリーアイの犬はこの固定が弱いため、眼球の動きによって瞬膜腺が飛び出しやすくなります。
また、以下のような要因で、チェリーアイが発症するとされています。

 

<遺伝的要因>

好発犬種に多く見られることから、遺伝的な要素も関与していると考えられています。

 

<発症リスクを高める環境要因>

・目を強くこする習慣がある
・アレルギーや炎症で目の周囲が腫れやすい
・外傷によって目の構造が変化する

 

症状

<視覚的な変化>

チェリーアイは見た目に大きな変化が現れるため、飼い主様が気付きやすい病気です。

 

■目頭に赤い塊が飛び出す

瞬膜腺が目頭から飛び出し、赤く腫れたように見えます。最初は小さくても、時間が経つにつれて腫れが大きくなり、目立つようになります。

 

■白目が充血する

炎症によって白目が赤くなることがあります。充血が進行すると、目全体が赤っぽく見えることもあります。

 

<行動の変化>

チェリーアイになると、犬は違和感や不快感を覚え、行動に変化が見られます。

 

■目を前足でこする・こすりつける

目に異常を感じるため、前足で目をこすったり、床や家具に顔をこすりつけたりする仕草が増えます。こすることで炎症が悪化し、症状が進行する可能性があります。

 

■目をしょぼしょぼさせる

瞬膜腺の腫れや違和感により、目を完全に開けることが難しくなることがあります。まばたきの回数が増えたり、片目だけ細めたりする場合は注意が必要です。

 

<目やにや涙の状態>

チェリーアイでは、涙の分泌量が変化し、目やにも増加します。

 

■目やにの量が増える

炎症が起こることで、粘り気のある目やにが多くなります。黄緑色や茶色の目やにが出る場合は、細菌感染の可能性もあるため注意が必要です。

 

■涙が多くなり、目の周りが濡れる

瞬膜腺の異常によって涙の分泌が増え、目の周りが常に濡れている状態になります。これが続くと、皮膚炎を引き起こすこともあります。

 

<似た症状との違い>

チェリーアイと間違えやすい病気もあるため、違いを知っておくことが重要です。

 

■腫瘍

前述したとおり、チェリーアイは若い犬(特に1歳未満)に発症することが多いですが、腫瘍は中高齢の犬で見られることが多いです。また、腫瘍は硬くて動かないことが特徴です。

 

■結膜炎

結膜炎では目が充血し、涙や目やにが増えますが、瞬膜腺の突出はありません。炎症があるため、見た目は似ていますが、目頭に赤い塊が見られる場合はチェリーアイの可能性が高いです。

 

<進行段階別の症状>

初期:小さな赤い塊が見える
中期:腫れが大きくなり、犬が違和感を訴える
重症期:角膜炎やドライアイを併発し、痛みが強くなる

 

合併症のリスク

<角膜炎>

チェリーアイが進行すると、飛び出した瞬膜腺が角膜に接触し、傷をつけることがあります。傷ができた部分に細菌が感染すると、炎症が悪化し、角膜炎を引き起こす可能性があります。軽度の角膜炎では、目の充血や涙の量が増えるといった症状が見られますが、症状が進行し重度の角膜炎になると、角膜が白く濁り、視力が低下することもあります。

 

<ドライアイ>

瞬膜腺は涙を分泌する重要な器官ですが、チェリーアイを放置すると炎症の影響で涙の分泌量が減少し、ドライアイを引き起こすことがあります。ドライアイになると角膜が乾燥しやすくなり、傷がつきやすくなるため注意が必要です。その結果、目が乾燥して瞬きの回数が増えたり、涙の分泌が減少したりすることで目やにが粘着質になるといった症状が現れることがあります。

 

<その他の眼疾患>

チェリーアイを長期間放置すると、目の周囲の組織に炎症が広がり、慢性的な結膜炎や眼瞼炎を引き起こすことがあります。 また、瞬膜腺の軟骨が変形し、手術で元の状態に戻すことが難しくなることもあります。

 

早期治療を行うことで、これらの合併症を防ぐことができるため、異変に気付いたら速やかに動物病院を受診することが重要です。

 

診断方法

チェリーアイは特徴的な見た目をしているため、視診のみで診断されることがほとんどです。視診では、瞬膜腺の飛び出しや腫れの状態を確認し、目の充血の程度を評価します。
ほかにも以下の検査を実施します。

 

<必要な検査項目>

角膜染色検査:角膜に傷がついていないかを調べるため、フルオレセイン染色を行います。
涙液量検査:ドライアイの有無を確認するため、涙の分泌量を測定します。
細胞診:1歳以上の犬で発症した場合、腫瘍の可能性を考慮し、細胞を採取して検査を行うことがあります。

 

治療方法

チェリーアイが軽度の場合は、ヒアルロン酸点眼や抗炎症点眼を使用し、経過を観察することがあります。ただし、瞬膜腺が頻繁に飛び出す場合や炎症が続く場合は、外科手術が必要になります。

チェリーアイの手術治療には大きく分けて二つの方法があります。一般的な治療法として行われるのは、飛び出した瞬膜腺を元の位置に戻し、再発を防ぐために縫合する手術です。この方法は瞬膜腺の機能を維持できるため、多くの動物病院で推奨されています。

一方で、かつて行われていた瞬膜腺の摘出手術は、涙の分泌量が大幅に減少し、ドライアイを引き起こすリスクが高いため、現在では推奨されていません。

 

<治療期間と経過>

手術後は約1〜2週間で回復し、エリザベスカラーを装着して目をこすらないように管理します。手術後の再発リスクはありますが、適切な処置を行えば良好な経過をたどることがほとんどです。

 

日常的な予防法

チェリーアイを完全に予防する方法はありませんが、早期発見と早期治療が非常に重要です。そのためには、日頃から愛犬の目をよく観察し、異常がないか確認することが大切です。特に、目を頻繁にこするようなしぐさが見られた場合は、症状の進行を防ぐためにも早めに動物病院を受診しましょう。

また、ホコリや異物が目に入らないよう、生活環境を清潔に保つことも予防につながります。さらに、チェリーアイが発症しやすい犬種では、日常的に目の健康状態をチェックし、少しでも異変を感じたら適切なケアを行うことが重要です。

 

ご家庭でのケア方法

<目の周りの清潔管理>

清潔なガーゼやコットンを使い、目の周りを優しく拭いて清潔に保つことが大切です。また、目やにが多い場合は自己判断せず、獣医師に相談し、適切な点眼薬を使用することで症状の悪化を防ぐことができます。

 

<観察のポイント>

・赤みや腫れがないか
・涙の量が急に増えていないか
・左右の目の大きさや形に違いがないか

 

<異常を感じた時の対応>

前述したように、愛犬が目をこすらないようにするためには、必要に応じてエリザベスカラーを装着し、目への刺激を防ぐことが重要です。また、症状が軽いからといって放置せず、少しでも異変を感じたら早めに動物病院を受診することで、悪化を防ぎ適切な治療を受けることができます。

 

まとめ

チェリーアイは直接命に関わる病気ではありませんが、放置すると合併症を引き起こし、視力に影響を与えることがあります。

早期発見・早期治療が重要なので、愛犬の目に異変を感じたら、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

 

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