2024/04/09
犬や猫の口腔トラブルのひとつに、歯が欠けて折れてしまう「破折」があります。
歯が折れてしまうと、場合によっては痛みが出たり、口の中を傷つけたり、歯髄に感染や炎症が起こるなどの状態を引き起こしてしまう恐れもあるため注意が必要です。
今回は犬と猫の歯の破折について、考えられる原因や治療方法についてご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
破折が起こる原因は、歯に強い力や衝撃が与えられることです。
犬では、硬いおやつやおもちゃなどをかじることで歯が欠けて折れてしまうことがほとんどです。
一方で、猫の破折は高所からの落下や交通事故などで歯を強くぶつけることが主な原因となります。
症状
破折の症状は、欠けや折れの程度によって異なります。
破折が歯の表面のエナメル質のみなど軽度である場合には、痛みもなく無症状であることもありますが、破折によって先端が鋭利になっている場合には口唇や口の中を傷付けてしまうことがあります。
また、破折が歯の中心部の歯髄にまで達している場合には、痛みや腫れ、出血、歯髄への細菌感染などが生じることで食欲不振や流涎、口を気にする様子などが見られます。
さらに歯髄の感染が進行すると、歯の根元に膿が溜まって頬が腫れる、歯茎や皮膚が破れて排膿が見られることもあります。
診断方法
歯の破折では、歯や口の中の状態を観察することに加え、X線検査を行って破折の程度や感染の有無などを判断します。
治療方法
治療には大きく分けて「歯の修復」「抜歯」の2通りがあり、歯の折れ方によって治療方法が変わります。
破折がエナメル質のみや、歯髄に感染がない場合にはコンポジットレジンという歯科用のプラスチックを用いて歯を修復します。
一方、破折が歯髄にまで達して歯髄が露出している場合や感染がある場合には、状態に合わせて神経を抜いて詰め物をしたり、抜歯したりすることもあります。
予防法やご家庭での注意点
歯の破折を予防するためには、歯に強い力が加わらないようにすることが重要となります。
犬では硬すぎるおもちゃや食べ物を与えないようにし、また猫では落下や交通事故などが起こらないよう室内飼育を心がけるなどの対策を取ることで、歯の破折につながるトラブルを防ぎましょう。
また、一度破折した歯は修復しても再度折れてしまうこともあるため、治療を行ったあとも日頃からお口のチェックをするようにしましょう。
まとめ
歯の破折は、硬いものを噛んだり事故に遭ったりなどで歯に強い力が加わることで起こります。
破折の程度によっては痛みや出血が生じ、さらに感染が起こると抜歯が必要となる事も多くあるため、破折が起こらないよう日頃から対策を取ることが重要です。
また、破折は早期発見・早期治療で歯の温存が可能な場合もあるため、もしも愛犬や愛猫が口を気にする、出血や腫れなどが見られる場合には様子を見ず、早めに動物病院を受診しましょう。
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