犬や猫の乳腺腫瘍について|避妊手術でリスクを大幅に減らせる│埼玉県川口市-森田動物医療センター

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乳腺腫瘍は初回発情前に避妊手術を行うことで、予防効果が非常に高いとされています。
この病気を起こすと、肺転移などにより命を落としてしまうリスクが高いため、早期に予防を行うことが大切です。

今回は犬や猫の乳腺腫瘍について、原因や症状、治療方法などをご紹介します。

■目次
1.乳腺腫瘍とは
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

乳腺腫瘍とは

乳腺腫瘍とはメスの犬や猫の乳腺にできる腫瘍で、良性と悪性(乳がん)があります。
乳腺腫瘍は犬の腫瘍のなかで最も発生が多く、猫の腫瘍のなかでは3番目に発生が多い腫瘍とされています。また、この病気は10歳以上の犬や猫に多く見られます

犬の乳腺腫瘍は50%が悪性、猫では90%が悪性とされています。
乳腺にできた腫瘍が良性であれば、他の組織や臓器に転移することはありませんが、悪性の場合はリンパ節や肺に転移するため、早めに外科手術で腫瘍を切除する必要があります

 

症状

犬や猫が乳腺腫瘍を起こすと乳腺にしこりができます。
乳腺の周りには体表腫瘍を含めてさまざまな腫瘍が現れますが、乳腺腫瘍の場合、皮膚をつまんだときに触ることができ、小豆や米のような固くてコリコリした粒のような硬いしこりが見られます。

腫瘍が大きくなると人間の小指のような形になることもあり、大きさやできた場所によっては歩きにくくなったり、擦れて出血したりすることもあります。
また、乳がんの中でも最も悪性度の高い炎症性乳癌では、激しい炎症から皮膚が赤く腫れ、痒みや痛みを伴います。

腫瘍を触った感触がブヨブヨしている脂肪腫の場合、感触で判断できることもありますが、基本的に腫瘍の種類や悪性か良性かは、触診のみでは判断できません。

 

原因

乳腺腫瘍の発生には性ホルモンの関与が考えられており、ほとんどが避妊をしていないメスの犬や猫に多く見られます。

乳腺腫瘍が発生しやすい年齢は、犬では良性が7〜9歳、悪性が9〜11歳、猫では良性と悪性のいずれも10〜12歳での発生が多いとされています。
また、非常にまれですが、オスでも発生することがあります。

 

診断方法

乳腺腫瘍の診断はまず触診を行います。
触診で乳腺にしこりがあった場合、他の乳腺にしこりがないか、リンパ節の腫れがないかを確認します。

乳腺腫瘍の種類や良性・悪性を探るためには、針で吸い出したしこりの細胞を顕微鏡で観察する検査(針吸引細胞診)を行うこともありますが、この方法で確定診断をすることはできません。
乳腺腫瘍の確定診断には、外科手術で切除したしこりを病理検査にかける必要があります。

 

治療方法

乳腺腫瘍の治療は、基本的に外科手術で腫瘍を取り除きます
良性が強く疑われる場合に限り、腫瘍を限局的に切除することもありますが、基本的には手術前の触診で明確な転移巣が確認されなくても、微小な転移巣が再発の原因になります。そのため、腫瘍が見られる乳腺ごと、または他の乳腺も含め広い範囲で切除します。

また、未避妊の犬や猫に対しては、子宮・卵巣系の病気を予防するために、同時に避妊手術を行います。乳腺腫瘍は良性・悪性であっても初期段階では腫瘍が小さく、転移がないため、腫瘍が完全に取り除かれている場合、予後は良好です。しかし、再発のリスクがあるため、経過観察が必要です。

術後は切除した乳腺腫瘍を病理検査に提出し、その結果を踏まえて今後の治療プランを検討します

なお、腫瘍の大きさや位置によって切除が困難な場合は、放射線治療で小さくしてから外科手術を行うこともあります。ただし、その段階ではすでに転移している可能性もあるため、根治を目指すというよりも生活が少しでもしやすくすることが治療の目的になることもあります。

 

予防法やご家庭での注意点

乳腺腫瘍は初回発情前の避妊手術実施で99.5%、2回目発情前で92%、2回目発情以降で74%の割合で乳腺腫瘍の発生を抑えることができるとの報告があります。

また、若い時期に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の予防に非常に効果的です。生後6ヶ月までに避妊手術をすることで約90%、生後7〜12ヶ月で約85%、発生を抑えられるとされています。

ご家庭では普段から愛犬や愛猫とスキンシップをとり、胸からおなかにかけてコリコリとしたしこりが見られたら早めに動物病院を受診しましょう。

 

まとめ

乳腺腫瘍は悪性の場合、リンパ節や肺などに転移し、命を落とすこともある病気です。しかし、子犬や子猫のうちに避妊手術を行うことにより、ほぼ完全に乳腺腫瘍を予防することができます。

乳腺腫瘍や避妊手術についてご不明点などございましたら、お気軽に動物病院に相談しましょう。

 


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