【専門医監修】犬や猫の心臓病の症状と治療法|早期発見で防ぐ重症化|埼玉県川口市-森田動物医療センター

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近年、犬や猫の心臓病が増加傾向にあることをご存じでしょうか。特に高齢の犬や猫で多く見られ、早期の発見と適切な治療が重要です。心臓病は初期症状が分かりにくく、気づいた時には病気が進行していることも少なくありません。そのため、飼い主様は日常的な観察を欠かさず行うことが大切です。

今回は犬や猫の心臓病について、症状や診断方法、治療方法などを解説します。

■目次
1.心臓病のよくある症状
2.よくある具体的な心臓疾患
3.正しい心臓病の診断方法
4.治療ってどのように進めるの?
5.飼い主様ができること
6.まとめ:愛犬や愛猫に適切な診断と治療を

 

心臓病のよくある症状

犬や猫の心臓病の症状は多岐にわたります。一般的な症状には、以下のようなものが挙げられますが、初期には特に症状が見られないこともあり、獣医師による聴診などの検査で発見されることもよくあります。

 

<呼吸困難>

安静時でも呼吸が早くなることがあります。特に運動後や夜間に呼吸が荒くなる場合や舌が青っぽくなる場合は注意が必要です。

 

<咳>

特に夜間や運動後に見られることが多いです。咳が続く場合は、心臓に問題がある可能性があります。

 

<疲れやすい>

散歩や遊びを嫌がるようになったり、以前よりも疲れやすくなったりすることがあります。

 

<食欲不振>

食べ物に興味を示さなくなり、食欲が減退することがあります。

 

<体重減少>

食欲不振に伴い、体重が減少することがあります。

 

<腹部膨満>

心臓の機能が弱くなると、おなかに腹水が溜まることによる膨満(ふくらみ)が見られることがあります。

 

よくある具体的な心臓疾患

犬と猫に見られる主な心臓病は以下の通りです。

 

【犬の心臓病】

<僧帽弁閉鎖不全症>

左心房と左心室を仕切る僧帽弁が完全に閉じなくなる病気です。小型犬に多く見られ、進行すると心不全を引き起こすことがあります。

 

<拡張型心筋症>

心筋が薄くなり、心臓の収縮力が低下する病気です。大型犬に多く見られ、進行すると心不全を引き起こすことがあります。

 

【猫の心臓病】

<肥大型心筋症>

心筋が厚くなり、心臓の機能が低下する病気です。猫で最も一般的な心臓病であり、進行すると心不全を引き起こすことがあります。

 

<動脈血栓塞栓症>

心臓病そのものではありませんが、血栓が血管を塞ぐ病気です。肥大型心筋症が原因となることが多く、突然の後肢麻痺や痛みを引き起こすことがあります。

 

正しい心臓病の診断方法

初期症状である疲れやすさや咳が見られた場合は、動物病院を受診しましょう。心臓病は徐々に進行するため、初期症状が見逃されやすいです。そのため、心臓病の診断には以下のような検査が必要です。

 

<聴診>

聴診器を使って心雑音や呼吸音を確認します。心雑音が聞こえる場合、心臓病の可能性があります。

 

<レントゲン検査>

心臓の大きさや形、肺水腫の有無を評価します。心臓が拡大している場合や肺に水が溜まっている場合は、心臓病の可能性があります。

 

<心エコー検査>

超音波を用いて心臓の動きや内部の様子をリアルタイムで確認します。心臓の構造や機能を詳細に評価することができます。

 

<肺エコー検査>

肺の様子を詳しく観察し、肺水腫などの有無を確認します。

 

<血液検査>

心臓に負担がかかっているかどうかを調べます。心臓病の指標となる項目を測定することで、心臓の状態を評価します。

 

<血圧検査>

高血圧が心臓に与える影響を評価します。高血圧は心臓病のリスクを高めるため、定期的な血圧測定が重要です。

 

心電図、血圧、レントゲン、エコー検査についてはこちらから
犬や猫の血液検査、尿検査、糞便検査についてはこちらから

 

治療ってどのように進めるの?

心臓病の治療は早期発見が鍵です。以下のポイントを押さえておきましょう。

 

<早期治療の重要性>

症状が出る前でも、心雑音や心拡大が見られると治療が必要な状態です。その段階で治療を開始することで、病気の進行を大幅に遅らせることができます。

 

<適切な薬の選択と用量>

獣医師の指示に従い、適切な薬を適切な量で投与することが重要です。薬の種類や用量は、犬や猫の状態や病気の進行度に応じて変わるため、非常に繊細な調整が必要です。短期間に複数回の調整が必要なことがあります。また心臓病は進行していく疾患であるため、一度決定した処方内容も、病状を観察して常に見直しを行います。

1日2回の薬を飼い主様の判断で1回にしたり、薬が足りなくなったからと薬をあげない日を作ってしまうと急激に肺に水が溜まり、命を落とすことがあります

 

<定期的な検査の必要性>

診断後は定期的な検査を行うことを心がけることで、病気の進行を監視し、必要に応じて治療方針を見直すことができます。病状が安定していても月1回程度の通院となることが多いです。

 

飼い主様ができること

<定期的な健康診断>

健康な状態でも、年に一度は健康診断を受けることが推奨されます。8歳を過ぎた頃からは年に2〜3回がベストです。健康診断により、早期に異常を発見し、適切な対策を講じることができます。

 

<日常生活での注意点と観察ポイント>

食欲や運動量、呼吸の状態などを日常的に観察し、異常があればすぐに獣医師に相談しましょう。特に呼吸が速くなったり、咳が続いたりする場合は注意が必要です。

 

まとめ:愛犬や愛猫に適切な診断と治療を

犬や猫の心臓病は早期発見と適切な治療が重要です。日常的な観察と定期的な健康診断を欠かさず、愛犬や愛猫の健康を守りましょう。また、心臓病の兆候を見逃さず、早めに対処することで、犬や猫のQOL(生活の質)を大きく向上させることができます。ぜひ、この記事を参考にして、心臓病の早期発見、健康管理に役立ててください。


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